
コラムCOLUMN
毎日の歯みがきに欠かせない「歯みがき剤」。
ドラッグストアなどには多くの種類が並んでいますが、皆さんは何を基準に選んでいますか?
味や香り、使用感などで選んでいる方も多いのではないでしょうか。
もちろん、毎日無理なく使い続けられることも大切ですが、むし歯予防という観点では、フッ化物の配合濃度と適切な使用方法が重要になります。
今回は、フッ化物配合歯みがき剤の選び方についてご紹介します。
■ フッ化物配合歯みがき剤とは?
フッ化物には、むし歯の発生や進行を抑える働きがあります。
具体的には、次のような作用が知られています。
① 再石灰化を促進する
歯の表面では、食事などによって歯のミネラルが溶け出す「脱灰」と、唾液などの働きによってミネラルが戻る「再石灰化」が繰り返されています。
フッ化物は、この再石灰化を促進する働きがあります。
② 歯の酸に対する抵抗性を高める
フッ化物は歯の表面に作用し、酸によって歯が溶けにくい状態をつくることに役立ちます。
③ 細菌による酸の産生を抑える
むし歯の原因となる細菌の働きに作用し、酸の産生を抑える効果もあります。
このような働きによって、フッ化物配合歯みがき剤は、日常的なむし歯予防に役立ちます。
■ 歯みがき剤に書かれている「ppmF」とは?
フッ化物配合歯みがき剤には、「950ppmF」「1450ppmF」などの表示が見られます。
この「ppmF」は、歯みがき剤に含まれるフッ化物の濃度を表す単位です。
例えば、1450ppmFは、歯みがき剤1kgあたりにフッ化物が1450mg含まれていることを意味します。
基本的に、フッ化物濃度が高い歯みがき剤ほど、むし歯予防に対する効果が期待できます。
ただし、年齢に関係なく濃度が高いものを使えばよいわけではありません。
特に小さなお子さんでは、年齢に応じた濃度と使用量を守ることが重要です。
■ 年齢によって適切な濃度と使用量は違います
日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科医学会の4学会は、2023年にフッ化物配合歯みがき剤の推奨される使用方法を公表しています。
その内容をご紹介します。
● 歯が生えてから2歳まで
推奨されるフッ化物濃度:900~1000ppmF
1回の使用量:米粒程度(1~2mm)
歯ブラシの先端に、ごく少量の歯みがき剤をつけます。
就寝前を含めて1日2回の歯みがきを基本とし、保護者の方が適切な量を管理することが大切です。
歯みがき後は、必要に応じてティッシュなどで歯みがき剤を軽く拭き取っても構いません。
また、歯みがき剤はお子さんの手が届かない場所に保管しましょう。
● 3~5歳
推奨されるフッ化物濃度:900~1000ppmF
1回の使用量:グリーンピース程度(約5mm)
歯みがき剤をつけすぎないように注意しましょう。
歯みがき後は軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回程度にします。
お子さんが適切な量を出せない場合は、保護者の方が歯ブラシにつけてあげましょう。
● 6歳以上・成人・高齢者
推奨されるフッ化物濃度:1400~1500ppmF
1回の使用量:約1.5~2cm
6歳以上では、成人や高齢者も含め、1400~1500ppmFの歯みがき剤が推奨されています。
歯ブラシの毛の部分全体に、適切な量をつけて使用します。
大人の方でも、歯みがき剤をほんの少ししか使っていない場合がありますが、フッ化物の効果を十分に生かすためには、適切な量を使用することが大切です。
■ 歯みがき剤の効果を生かす4つのポイント
フッ化物配合歯みがき剤は、選び方だけでなく、使い方も重要です。
① 1日2回、フッ化物配合歯みがき剤を使用する
就寝前を含めて、1日2回の使用を基本にしましょう。
毎日継続することが大切です。
② 年齢に合った適切な量を使用する
歯みがき剤は、少なければ少ないほどよいというものではありません。
年齢に応じたフッ化物濃度と使用量を確認しましょう。
③ 歯みがき後のすすぎは少量の水で
歯みがき後に何度も口をすすぐと、お口の中に残るフッ化物が少なくなってしまいます。
歯みがき後は歯みがき剤を軽く吐き出し、うがいをする場合は少量の水で1回程度にすることが推奨されています。
小さなお子さんの場合は、年齢に応じた方法で行いましょう。
④ 就寝前の歯みがきを大切にする
就寝中は唾液の分泌量が少なくなり、お口の中の自浄作用が低下しやすくなります。
そのため、就寝前の歯みがきは特に大切です。
歯ブラシによるプラークコントロールと、フッ化物配合歯みがき剤の使用を組み合わせましょう。
■ 歯みがき剤だけでむし歯を予防できる?
フッ化物配合歯みがき剤は、むし歯予防に役立つ重要な方法の一つです。
しかし、歯みがき剤を使用していれば、必ずむし歯にならないというわけではありません。
むし歯の発生には、プラークの状態、食生活、唾液、フッ化物の使用状況など、さまざまな要因が関係しています。
そのため、むし歯予防では、
- 歯ブラシや歯間清掃によるプラークコントロール
- フッ化物配合歯みがき剤の適切な使用
- 食生活や間食の習慣の見直し
- 定期的な歯科検診によるお口の状態の確認
などを組み合わせることが大切です。
■ 一人ひとりに合った歯みがき剤を
むし歯のなりやすさや、お口の状態は一人ひとり異なります。
年齢だけでなく、むし歯の経験、歯ぐきの状態、知覚過敏の有無、唾液の状態などによっても、歯みがき剤を選ぶ際に考慮したい点は変わります。
また、歯みがき剤の種類によっては、フッ化物以外にもさまざまな成分が配合されています。
大切なのは、宣伝やイメージだけで選ぶのではなく、ご自身のお口の状態と目的に合った製品を選ぶことです。
■ 荻窪ゆとり歯科では
当院では、むし歯や歯周病の検査とともに、日常的なセルフケアについても大切に考えています。
歯みがき剤の選び方や使用量、ブラッシング方法などについても、お口の状態に合わせてご案内しています。
「どの歯みがき剤を選べばよいのか分からない」
「子どもの歯みがき剤の量はこれでよい?」
「毎日歯をみがいているのに、むし歯ができてしまう」
このような疑問がある方も、お気軽にご相談ください。
むし歯予防で大切なのは、毎日のセルフケアを正しく、無理なく続けることです。
ご自身に合った歯みがき剤と適切な使用方法を知り、お口の健康を守っていきましょう。
荻窪ゆとり歯科 河合章太
参考資料:
日本口腔衛生学会・日本小児歯科学会・日本歯科保存学会・日本老年歯科医学会
「う蝕予防のためのフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法(2023年版)」